横山光輝版『三国志』読書LOG

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横山光輝先生の『三国志』を読了しました!(ジャーン ジャーン ジャーン)

2026年3月から5月にかけて、1日1冊ペースで進行。途中からは『三国志演義』を比較参照しながら毎日Blueskyで感想や備忘録をポストしていたので、なんやかんやで結構な文章量になりました。驚きの2万字超。せっかくなので、こちらに一元化しておきます。
※ちなみに吉川英治版は未履修です。

総論としては、漫画がうまい。うますぎる。登場人物数が膨大な上に、凄まじい規模の合戦と内政・外交パートが連続する大河ドラマで、「どこで誰が何をやっているのか」が読者にきちんと伝わる形で描かれていて、本当に偉大なことだと思います。
横山光輝先生は40歳間際で連載を開始されたのですね。ベテランでなければ手に負えない題材であると同時に、体力がなければ完走できない超長尺の物語なので、納得のタイミングではあるのですが、それにしたってなんという覚悟と決意だろうか。
横山光輝先生の作品を読むのは今回が初めてだったので、追々他のタイトルも拝読したいところです。

横光版で印象的だった人物は司馬懿。野心の気配ゼロで、至って真面目な憂国の賢人として描写されているんですね。忍耐と慎重さで孔明の進軍を防衛しきった人なので、納得の解釈でもある。
最大の衝撃シーンは官渡の戦いが丸ごとスキップされたところ。そんな……なぜそんなグリッチ可レギュレーションRTAみたいなことを……と思ったら、掲載誌が変わった時期のゴタゴタのせいだったそうで……序盤の袁紹の描写が丁寧だっただけに無念ですね……。官渡スキップのせいか、完全に不老長寿キャラになっていた張郃も印象的でした。最後までえらいキュート。

張郃は表紙に登場したことが(おそらく)ないので、司馬懿に合わせて配色してしまったけれど、どうやら『三国志大戦』に出演した時は白×金カラーだったらしい。描き終わってから気付いたのであった。

 

お待たせしました。それでは、ここから三国志読書マラソンの記録をお届けします。最序盤は記録をとっていなかったので省略。後半になるほど文章量が増えていくぞ。

ちなみに全42巻の電子書籍版で読破しました。

横山光輝生誕90周年記念電子出版「Selected Works」
三国志(1) 桃園の誓い

横山 光輝 (著)
形式: Kindle版

 


3巻

虎牢関の戦いまで。
「とてもつらい」のコマだけインターネットミームで知っていたのですが、あれは夜更かしと暴飲暴食のしすぎで弱ってる霊帝だったんですね!? しっかりして帝。

7巻

お留守番張飛のやらかしで徐州が呂布に乗っ取られるところまで。張飛が深刻なアル中で心配になる。
横光版の呂布は意外と「話せばわかる」素朴な人物として描写されているので、不運なゴリラという印象を受けました。あと貂蝉の出番が思ってたより短い。流星のように現れて去っていく。プロ意識が高いというか、潔い。

8巻

演義未履修なので、どうして無双ORIGINSの宛城脱出戦でif分岐するための条件が「最速で汎用武将の胡車児をしばき倒す」だったのか存じ上げなかったのですが、横光三国志で理解しました。典韋を謀って身ぐるみ剥いだ人だったのか。勉強になりました横山光輝先生。

10巻

下邳城が水没して呂布が処刑されるところまで。

夏侯惇の読みは「かこうじゅん」なんですね。吉川英治版の時点でジュンだったのか。発音がXiàhóu Dūnなら、むしろ正解に近いのかもしれない。

11巻

袁紹が公孫瓚を滅ぼして、偽帝袁術が劉備軍に大敗して行き倒れ死するところまで。横光版の界橋の戦い(というか易京の戦い)は伝聞形式の要約でしか描かれないので、公孫瓚の白馬義従は出番無し。(公孫瓚ってデフォルトのiPhoneで一発変換できるんだ……!?)

田舎の一般庶民と思いきや実は高貴なる血筋、智略・武勇に特別長けているわけではないが人徳パラメータだけ異常突出していて規格外に強力な仲間が集まる人たらし、ほぼトップ独走中の曹操に唯一ライバル認定される、帝からも爆モテ。
と劉備の主人公適性が本当にすごい。盛りに盛っている。

12巻

献帝が指示した曹操暗殺計画がばれて薫承 刑死、下邳城でお留守番していた関羽が張遼に説得されて曹操陣営に投降、それから白馬・延津の戦い開始。
「曹操様は心の底から関羽を欲しがっていられる。まるで美しい女子に恋をなされるほどの情熱だ」(原文ママ)

13巻

関羽千里行で周倉と趙雲が加入、孫策が毒矢で襲撃されて華佗が治療、回復したものの今度は于吉仙人に祟り殺されて孫権が家督を継ぐところまで。久々の孫呉パートなのに入れ替わりが激しい。

無双周倉のデザイン、かなり横光版に近いんですね。スカーフとオシャレハットと短い顎髭。元ネタにあたる絵があるんだろうか。

下邳陥落から千里行まで、関羽のエピソードは懇切丁寧に尺を割かれていて、やっぱり三国志の中で別格の存在なんだなあと再認識しました。

14巻

官渡の戦いがナレーション1コマで終わった!!?(困惑) 日本における桶狭間ぐらいの重要な局面だと思ってたのでめちゃめちゃびっくりした。これまで袁紹の描写自体はかなり丁寧に時間をかけていたのに何故……。水鏡先生・単福(徐庶)・孔明が初登場。徐庶が八門金鎖の陣を破って、関羽が樊城制圧、曹操が徐庶を引き抜くところまで。 さんざん凶馬呼ばわりされている的盧(一発変換できる!)だけど、顔はかなりキュート。

15巻

三顧の礼で孔明先生(27歳)加入、孔明が劉備と「まるで恋人同士」(原文ママ)の間柄になって関羽&張飛とギッスギス、博望坡の戦いで初実戦の孔明が夏侯惇を破るところまで。 あと名前だけ張郃が初登場。横光版では官渡の戦いが完全スキップされたので、最初から魏所属っぽい?

博望坡の頃の孔明先生は張飛からも夏侯惇からも「二十歳そこそこの若造やんけ!」とナメられているので、三顧の礼の時点では本当に田舎に引きこもってる正体不明の若手(実績ゼロ)だったんだな……と思う。全力でスカウトした劉備の人事力が異次元。水魚の交わり。

16巻

曹操本隊が新野に侵攻、曹仁が孔明に惨敗、于禁が劉琮を暗殺、趙雲が阿斗を救出して長坂を突破、孔明が魯粛に連れられて呉に出張するところまで。 もうすぐ赤壁のお時間です。

羽扇に綸巾のいわゆる孔明ファッションが完成するのは、魯粛と共に呉に出張する時なんですね。他所行きモード。 それから青釭の剣が出てきた。曹操が夏侯恩にプレゼントした宝剣だったのか。ORIGINSでお世話になっております。

17巻

なんやかんやあって呉が曹操相手に開戦、孔明トラップに面白いほど引っかかる周瑜のコント芸、周瑜の偽手紙作戦にかかった蔡瑁が処刑されて、黄蓋が周瑜とプロレスして曹操陣営に降るところまで。 次回、赤壁の戦い。
横光版の周瑜はかなり短気な人なんですね。あまり知略の将として描かれていなくて、お作法無視してその場の勢いで他所からの使者も斬首するタイプ。芸人のような勢いで孔明の罠にもひっかかっていくので、引き立て役にされている感じがすごい。

周瑜が久々に訪ねてきた学友 蔣幹に対して「今夜は君と同じ床に寝て語り明かそう」と言うシーン、同衾しているところもきっちり描写されていて驚きました。 寝方も独特過ぎてかなり印象的だったんですが(いわゆる添い寝スタイル👬じゃなくて頭の位置が互い違いに🙂🙃なる位置取り)、後漢では当たり前の光景だったのか気になる。

ちなみにジョン・ウー監督の映画『レッドクリフ』での該当シーンでは横並び寝でした(蔣幹チェックのために久々に再視聴した)
しっかり尺をとって周瑜と蔣幹の談笑シーンが確保されていて、横光三国志と比較してちゃんと地元の友達なんだなあとわかる演出になっていた。 レッドクリフ版の蔣幹は偽手紙に踊らされた廉で曹操に毒殺されていて、周瑜が蔣幹の死に心を痛めているシーンも挟まれていました。憐憫をもって描かれているので、相対的に扱いが良い方かも。

18巻

1冊まるごと赤壁の戦い。 龐統が連環の計で曹操船団を繋ぐ、孔明が祭壇で祈祷して東南の風を呼ぶ、周瑜がまたもや孔明暗殺失敗、周瑜が蔡和を斬首して必勝祈願の儀式開催(孫呉の風習物騒すぎんか!?と思ったら奇祭は横光版オリジナル演出らしい)、黄蓋が曹操船団に放火、曹操悲鳴をあげながら敗走「げえっ」「ひーっ」「わわわ」、華容道で関羽が曹操を見逃すところまで。

孔明先生は祈祷パワーではなく気象観測で東南の風を予測しているので、今になって思えば3日の刻限で雨乞いを成功させた于吉仙人も同じく気象予報士だったのかもしれない。

19巻

赤壁で大勝した呉が南郡に進軍、夷陵(一発変換できる!)でトラップにかかった甘寧を周瑜&周泰が救助、慢心の周瑜が落とし穴にハマって曹仁・曹洪にボコボコにされる、その隙に劉備陣営が南郡制圧、どうやら合肥の戦い(一発変換できない!)進行中、趙雲が桂陽を攻略するところまで。周瑜が完全にうっかり担当になっている。

博望坡以降は世界が孔明を中心に回り始めるので、孫呉代表がすっかり周瑜になっている。孫権の影がめちゃめちゃ薄い。 あと劉備が乱世慣れしてきたのか、即断即決で捕虜の首を刎ねようとしていて驚きました。実質的な主人公が孔明にシフトしたから、物騒な発言が許されるようになったのかもしれない。

20巻

張飛が武陵を攻略、関羽が長沙に進軍、黄忠と魏延が初登場、魏延のクーデターで長沙が自壊、孫呉は合肥で張遼相手に大苦戦して太史慈が戦死、周瑜が孫権の妹(17歳)を劉備(50歳)に嫁がせる(演義なので孫尚香名義ではない)、劉備と孫権が甘露寺で十文字斬り、劉備と孫夫人が荊州へ脱出するところまで。

横光版の孫夫人、弁が立つしシュッとしてはって良いですね。未成年にしてクシャナ殿下系の威厳を感じる。 一方で周瑜の方は、ただでさえうっかり担当なのに「感情がたかぶると吐血する」弱点まで付与されて体張ってる感じがすごい。暗殺作戦も毎回失敗しているし、やることなすこと裏目に出る。周瑜のポジションは、ばいきんまんなのかもしれない。

21巻

周瑜が国外逃亡した劉備&孫夫人を追跡するも孔明の策でボコボコにされる、曹操の銅雀台が完成、荊州を乗っ取ろうとした周瑜がまたしても孔明の罠にかかってストレスで憤死(享年36)、龐統が劉備に仕官、西涼の馬騰が曹操暗殺未遂で刑死、爆速で仇討ちに出動した馬超と韓遂が長安城を落とすところまで。

記憶より周瑜の退場が早かった。孫呉の主要メンバーは本当に夭折率が高くて入れ替わりが激しいですね……夭折といえば孫策みたいなイメージがあるけれど、孫堅も30代で亡くなっていたし……。(しかし衣食住が比較的安定している層の当時の平均寿命はどれぐらいだったんだろう)

22巻

全42巻版で読んでいるのでここから後半戦。 徐晃&曹洪が潼関へ出動するも馬超の足止めに失敗、渭水で曹操軍と馬超軍が対峙、曹操が築城した先から全部壊していく馬超、賈詡の仲違いトラップにかかった韓遂が投降して馬超敗走、漢中の張魯が玉璽を拾って蜀への進軍を決定するところまで。

呂布は台風とか天災みたいな扱いだな……と思ったけど、馬超と西涼の皆さんもわりとそういう扱いになってる節がある。野を駆ける馬の群れを見ると、何もかも放棄してそちらを追いかけてしまう習性がある馬超軍ちょっと面白い。

23巻

おごれる平家みたいになってる曹操陣営、張松にダメ出しされた曹操が新刊(孟徳新書)を焼き捨てる、法正&孟達が劉備に蜀の制圧を懇願、蜀に侵攻した張魯を劉備が迎撃、孫権が孫夫人を帰郷させて建業に遷都、曹操が孫権に連戦連敗してから休戦、劉備との内通がバレて張松刑死、龐統が涪水関で高沛&楊懐(一発変換できる!)の首を落とし、黄忠&魏延が涪城制圧、錦屏山の紫虚上人が龐統の死を予言するところまで。情報量が多い。

次回、落鳳坡。 龐統は登場自体は比較的早いけれど、赤壁で顔を出すのは事前準備の一瞬だけだし正式に士官するのは更に後になってからなので、劉備陣営の中ではかなり早期退場のイメージがある。鳥好きとしてはもっと活躍を見たかった。

24巻

劉備VS劉璋の戦いが本格化、孔明に嫉妬した龐統が功を焦って撤退案を却下、落鳳坡で集中砲火を受けた龐統が死亡(享年36)、孔明&張飛が蜀へ出動、張飛が厳顔を捕縛して巴城を落とす、蜀の将軍が次々劉備に投降、孔明が金雁橋で張任を捕縛して雒城制圧、孔明&黄忠が李厳を捕縛して綿竹関制圧、漢中で居候していた馬超が劉璋の支援に出動、葭萌関で張飛と馬超がエンドレス一騎打ちするところまで。

黄忠はめちゃめちゃ安定感のある立ち回りをしますね。同僚のミスをカバーしたり孔明の罠の実行係を担当したりと堅実な役柄なので、ポジションは趙雲に近いものがある。絶対に失敗しないマン。

25巻

張魯から離反した馬超&馬岱が劉備に投降、馬超の説得で劉璋が降伏して劉備が蜀を平定、曹操暗殺計画がバレて伏皇后が刑死、曹操の娘が献帝に嫁ぐ、曹操が漢中へ侵攻、夏侯淵&張郃が陽平関で夜襲を受けて即敗走→仕切り直して奇襲返しで汚名返上、龐徳が捕縛されて曹操に投降、曹操が漢中平定、伊籍が呉に合肥攻めを進言、張遼・李典・楽進が防衛する合肥で孫権が惨敗するところまで。 情報量が多い!

25巻でようやく張郃が初登場。名前だけ15巻で触れられていたものの、ご本人が顔出しするのは初めてのはず(もしかしたら密かに背景にいたかもしれないけれど) なるほど横光三国志はなぜか官渡の戦いをスキップした上に華容道の撤退戦も駆け足進行だったから、張魯征伐の緒戦大失敗まで張郃の出番がないのか。いきなり夏侯淵と揃って曹操に斬首されそうになるので、散々な初登場エピソード。

26巻

引き続き合肥の戦い、甘寧の精鋭アヒル隊が夜襲成功、張遼・李典・徐晃・龐徳が呉陣に進軍して乱戦、陸遜が初登場して休戦、曹操が魏王を名乗る、左慈が曹操に政治家やめて仙人になるよう勧める、あらゆる刑罰を無傷で突破した左慈が数々の怪現象を起こして鶴と共に去る、すっかり具合の悪くなる曹操、管輅(一発変換できる!)の必中占い、魯粛が病でナレ死、司馬懿がさらっと初登場、金禕・耿紀・韋晃の謀反を曹休・夏侯惇が鎮圧、曹洪・張郃が蜀へ侵攻、舐めプの張郃が曹洪の警告を無視して巴西へ進軍→張飛と酒盛り50日耐久戦→なんやかんやあって惨敗、逃げ帰った張郃が曹洪に土下座するところまで。

ヤッター! 左慈エピソードだー!! 物凄くしっかり尺をとって怪奇現象の数々を漫画化してくださっている!🪿 権力者を煙に巻く胡乱な存在からしか得られない栄養がある。日本の戦国時代だと果心居士がとても好き。左慈は鳥類なので更にアドがつよい。

司馬懿が26巻でさりげなく初登場。いたって小さいコマだし曹操との会話も手短に完結するから、予備知識無しで読んだらまさかラストまで出番のある超重要人物とは思いもよらないのでは。 張郃は前巻の初登場から2連続で大失敗していて完全にうっかり&土下座謝罪担当になっているので、こちらも後に孔明先生から名指しで警戒されるほどの将になるなんて、かなり予想外の展開だと思う。

27巻

葭萌関で張郃が雪辱戦を仕掛け孟達に圧勝、黄忠・厳顔が出動して張郃敗走、張郃の警告を無視した夏侯尚・韓浩が惨敗して夏侯徳は戦死、定軍山の戦い開始、法正・黄忠の焦らし戦法、張郃の警告を無視して突出した夏侯淵を黄忠が討ち取る、魏軍が定軍山を放棄、曹操自ら参戦、黄忠・趙雲が兵糧攻め、曹操・徐晃・張郃が趙雲の待ち伏せにかかって敗走、徐晃が背水の陣で大敗して責任転嫁された王平が離反、孔明の夜間騒音作戦で魏軍寝不足、孔明が背水の陣を展開、裏の裏の裏を読みすぎた曹操が孔明に振り回されて敗走、張飛・魏延が南鄭制圧、曹操が陽平関へ退却、泥酔した許緒が兵糧防衛に失敗するところまで。

劉備が蜀を支配して以降は張郃の出番がずっと続くし、趙雲の対極をいく不安定さで波乱万丈のエピソード持ちだから魏軍の中でも相当にキャラが立ってる方だと思うんだけど、なぜ吉川英治は張郃にやたら残機を持たせたのか謎深まる。死なせたことを忘れるには濃すぎる武将。
葭萌関で黄忠・厳顔の挟撃に敗北した張郃に対して、曹洪陣営が「ここで張郃を処罰したらきっと蜀に寝返るから、今は見捨てずに援軍出して見張った方がいい」と判断しているのがちょっと面白い。この時点で張郃は既に2回移籍しているから、魏では信頼されていなかったんだろうか。この辺は原典の三国志演義でも「張郃被迫 必投西蜀」と断言されていますね。 横光版張郃は最初から魏所属なので、理不尽に疑われていて哀れ。

28巻

魏が陽平関から斜谷へ撤退、曹彰が救援、曹彰が劉封を追い返し呉蘭を討つ、曹操の鶏肋発言で勝手に撤退指示を出した楊修が斬首される、漢中に留まった曹操が蜀に袋叩きにされて魏延に前歯折られる、魏軍が壊滅して長安へ撤退、劉備が漢中王を名乗る、司馬懿が呉を蜀にけしかける、諸葛瑾の縁談作戦失敗、蜀の五虎大将軍メンバー決定、関羽が樊城へ進軍、曹仁が襄陽で敗走、于禁・龐徳が樊城へ、功名心で于禁が布陣ミス、関羽の水攻めで魏軍壊滅、命乞い于禁、龐徳は名誉の斬首、華佗が関羽を骨削りオペ、陸遜が関羽にへりくだりレター、油断した関羽が本隊を樊城へ、その隙に呂蒙が荊州へ向かうところまで。

なんだか1冊あたりの情報量が詰め詰めになってきた。明らかに前半に比べてナレーションで一気に説明する場面が増えているから、時間の流れが早い。 それにしても魏延に前歯折られた曹操めっちゃ痛そう。ここは三国志演義でもそのまま「原來被魏延射中人中 折却門牙兩個」という描写。

孫家を犬畜生呼ばわりしたり五虎大将軍に老いぼれ入れんなや発言したり、若手の陸遜の見え透いたトラップにかかったり、身内の諫言を無視して一騎打ちに出て負傷したり、晩年の関羽は無礼ムーブと判断ミスがかなり多い。前半の思慮深さはどこへ。 劉備も孔明が加入して以降は明らかに判断ミスが増えて人を見る目が衰えているのだけれど、作劇上の都合として孔明を持ち上げるための踏み台になっているだけでなくて、ある意味リアルな老い描写なのかもしれない。

29巻

呂蒙が蜀の狼煙隊を懐柔、呉が公安・南郡を無血開城して荊州制圧、曹操が関羽討伐へ、関平が徐晃に連敗、樊城で関羽軍が潰走して襄陽へ撤退、蒋欽・周泰・韓当が関羽軍を迎撃、関羽・関平が麦城へ撤退、劉封・孟達が援軍拒否、諸葛瑾が関羽説得失敗、呂蒙が関羽・関平を斬首、関羽享年58、王甫・周倉が自決、呂蒙が吐血して急死、呉が塩漬け関羽ヘッドを魏に送りつける、司馬懿が関羽を丁寧に国葬、劉備が号泣して三日寝込む、曹操が躍竜潭の神木を切って祟られる、頭蓋切開オペを提案した華佗が曹操に投獄され死亡、華佗が呉押獄に青嚢の書を託したが焼失、曹操が曹丕を後継に指名して病死するところまで。

樊城の戦いあたりから第一世代のメインメンバーが一気に退場していくので、すっかり後半だなと思う。 陸遜が加入して以降の呉は、根回し・交渉・法治主義で勢力を拡張していて要領がいいですね。周瑜が文字通り血反吐をはきながら奔走して結局手にすることができなかった荊州を無血開城で制覇していて、相対的に第二世代の呉陣営は物凄く立ち回りが上手く見える。

それにしても遂に巻頭人物紹介で「瓦口関で張飛に破れ 天蕩山で黄忠に破れ 前線を外される」と表記されてしまった張郃の明日はどっちだ! 街亭は37巻なのでまだもうちょっと先!

30巻

曹丕に叛意を疑われた曹熊が自害、曹丕が曹植に「七歩詩成功させないと処刑」の無茶振り→豆の詩で生存、蜀で内乱、魏に降った孟達を劉封が追跡するも敗走、劉備が劉封を処刑、司馬懿Pが慎重に曹丕即位をプロデュース、献帝が曹丕に禅譲して正式に後漢滅亡、たまたま玉璽を発見して劉備が大蜀皇帝になる、孔明・趙雲の反対を押し切って劉備が呉へ侵攻、アル中DVパワハラで人望失った張飛が范彊・張達に暗殺される、張飛の子と関羽の子が参戦して呉軍を圧倒、甘寧・韓当・周泰が出動、黄忠が独断で単騎突撃して戦死(享年75)、老いと病でつらい甘寧が無理に出陣して戦死するところまで。

蜀の面々は総じて晩節の汚し方が本当にすごい。見切りつけて途中で投げ出さない孔明先生の忍耐力も更にすごい。

31巻

引き続き蜀VS呉で夷陵の戦い、糜芳・傅士仁が再び蜀に寝返るも劉備に処刑される、連敗の呉が范彊・張達と張飛ヘッドを蜀に送り返す、張苞が范彊・張達を処刑、馬良の警告を無視して劉備が呉との和睦を拒否、闞沢の推挙で陸遜が大都督デビュー、魏が呉に進軍、陸遜の火計で蜀軍壊滅、趙雲の救助で劉備が白帝城へ撤退、陸遜が孔明の石兵八陣にかかる、陸遜が爆速で引き返し魏に応戦、曹丕が勇気100倍作戦で自ら濡須口へ出陣するも魏軍敗走、劉備が劉禅と蜀を孔明に託して死去、司馬懿の提案で魏が蜀へ侵攻、孔明の策で蜀が徹底抗戦、鄧芝が捨て身の交渉で蜀呉同盟を結ぶところまで。

魏、水上戦と火計で致命傷を負いがち。曹操が赤壁での大失敗から得た教訓を曹丕にうまく引き継ぎできてなかったのかな……と思ったり。 曹操に続いて劉備も亡くなったので、本格的に終盤の気配ですね。じりじり増えてきた司馬懿の出番。

横光三国志の石兵八陣は急に諸星大二郎ホラーみたいな世界観になるので困惑したのですが、三国志演義の原文と日本語訳を併読しても実態がよくわからなかった。 おそらく錯視トリックや特異な自然環境の合わせ技なんだろうけど、「遠くから見てわかるほど殺気オーラが炸裂していて、90個の石が並んでいるだけの岸辺なのに内側に人が入ると突風吹いて奇岩が生えて水流が押し寄せて爆音が響き、毎日毎時変化する無限迷宮」は果たして実現可能なのだろうか。

32巻

蜀呉同盟に動揺した曹丕が急いで造船して呉へ進軍、徐盛と孫韶の仲違いを孫権が厳重注意、徐盛の偽砦に狼狽えた船酔い曹丕が撤退、呉が魏の船全部燃やす、曹丕の撤退戦で張遼が戦死、魏軍が呉に大敗、南蛮王 孟獲が益州の乱、孔明が南蛮討伐へ、魏延が鄂煥を捕縛、孔明が高定・雍闓に離間の計、疑心暗鬼に陥った高定が雍闓・朱褒を討つ、益州の乱平定、呂凱が孔明に南蛮指掌図を贈呈、孔明の南蛮行、馬良がナレ死、三洞元帥が孔明を捕まえに五渓峰へ、孔明の布陣に納得いかない趙雲・魏延が独断で奇襲、孔明が元帥を懐柔、孟獲捕縛(1回目)まで。

33巻

孔明が孟獲をリリース(1回目)、南蛮軍が濾水に築城、馬岱が南蛮の補給線を断つ、董荼奴が離反して孟獲を捕縛、孔明が孟獲をリリース(2回目)、孟獲が董荼奴・阿会喃を処刑、孟獲・孟優が奇襲失敗、馬岱が孟獲を捕縛、孔明が孟獲をリリース(3回目)、孟獲が蛮都 銀坑洞へ後退、南蛮連邦を引き連れて再戦するも惨敗、孔明が孟獲をリリース(4回目)、王平・関索が地獄ジャングル禿竜洞へ向かうところまで。

もしかして孟獲キャッチ&リリースは全7回丹念にやる構成なのか……!? 第二世代に入ってからナレーションスキップ多めの進行だったのに、ここへ来て懇切丁寧な南蛮編。不思議なペース配分だ。孔明主役エピソードだからかもしれない。

34巻

孟節が蜀軍の病人を治療、楊鋒が宴会騙し討ちで孟獲を捕縛、孔明が孟獲をリリース(5回目)、朶思王が戦死して三江城陥落、祝融が張嶷・馬忠を捕縛、趙雲・魏延が祝融を捕縛、蜀と南蛮の人質交換、木鹿王がゾウに乗って参戦、趙雲・魏延が猛獣団に大敗、孔明の火炎放射ロボ作戦、関索が木鹿王を討つ、孔明が孟獲をリリース(6回目)、孟獲が烏戈国へ後退、孔明が盤蛇谷に兀突骨・藤甲軍を閉じ込めて棺爆弾と地雷で爆殺、孟獲「いよいよ打首か もう覚悟はできているわ😉」、孟獲7回目のキャッチ&リリースで蜀に帰順、南蛮平定、孔明が饅頭で生首49儀式を改定、孔明がようやく成都に帰るところまで。

教化啓蒙の名目で東南アジアの”未開の部族”の国々に侵攻して、最新兵器(地雷)で現地兵を皆殺しにする形で心を折って”平定”するので、「わあ人類史が繰り返してきた植民地支配」ってなる。三国志南蛮編。

横光版の孔明は藤甲軍爆殺現場で涙を落とすものの、演義の「国家のためとはいえ、(この虐殺行為によって)私の寿命は必ず縮まるだろう」(吾雖有功於社稷 必損壽矣)発言はしないんですね。五丈原の重要な伏線になっているセリフという印象があったのですが、翻案にあたっての取捨選択に個性が見えて興味深い。 原典の「(藤甲軍の)大半は爆殺によって頭や顔が粉砕されていた」(大半被鐵砲打的頭臉粉碎)描写もさすがに横光版では控えめ。

35巻

馬超が急に病死(享年45)、曹丕が曹叡を司馬懿に託して病死(在位7年・享年40)、驃騎将軍になった司馬懿が西涼へ、馬謖が司馬懿に誹謗中傷作戦、司馬懿が冤罪でクビになって失脚、孔明が「臣亮もうす」前出師表を執筆、アラフィフ孔明が北伐決意、夏侯楙(正史は夏侯惇の子、演義は夏侯淵の子)が長安へ進軍、趙雲・張苞・関興の勝利、夏侯楙が南安城へ敗走、孔明の罠で安定城・南安城が陥落、天水城で姜維(未成年)が初登場、姜維が趙雲を挟撃して圧勝、孔明が姜維の夜襲で人生初の敗戦、孔明が姜維を実家に誘導して離間の計、孤立した姜維が蜀に帰順するところまで。

曹操が司馬懿を警戒して地味な文官業ばかりさせていたのは慧眼だった、という答え合わせが終盤になって展開されるのいいですね。曹操存命だった頃の、司馬懿 初登場シーンが異様に地味だったのも良。サブキャラみたいな顔してぬるっと現れて、じわじわ出番を増やしていく司馬懿。(横光版は野心家ではなく憂国の賢人として描かれていますが) しかし曹丕が本当に儚い。つい最近即位したばかりなのに、勇気100倍作戦で初の総力戦に乗り出して火事場泥棒マインドで呉にケンカ打って船酔いして大敗して帰ってきてすぐに崩御されてしまった。

辺境にお住まいの未成年なのに孔明&趙雲に圧勝する姜維とんでもねぇチート枠だな……と思ったけど、よく考えたら孔明先生も初登場時点では「田舎に住んでる二十歳そこそこの若造」と言われていたことを思い出した。時の流れ。 母親を人質に取られて移籍する流れは徐庶と同じだし、姜維の場合はそっくりさんを使った誹謗中傷作戦で地元から追放されているしで散々すぎる。この流れで孔明に心からの一発服従をキメる姜維の精神状態、現代人にとってあまりに理解し難い。

36巻

孔明・姜維の撹乱矢文で天水城が自壊、孔明が祇山へ進軍、孔明に大敗した曹真が西羌(チベット・モンゴル)に支援要請、馬岱が西羌の鉄車隊に大敗、孔明が積雪落とし穴で鉄車隊を完封、魏延が曹遵を討つ、趙雲が朱讃を討つ、曹真が総退却して蜀が渭水を確保、困った魏が司馬懿を再雇用、蜀の快進撃に怯えた孟達が再び寝返る、孟達が徐晃を討ち取る、申耽が孟達を討ち取る、司馬懿が独断軍事OKの特権を曹叡から得る、蜀VS魏の総力戦スタート、張郃が兵糧を潰しに街亭へ出動、王平の警告を無視した馬謖が山頂に布陣、司馬懿・張郃が馬謖を包囲するところまで。

徐晃も曹家三代に仕えているし相当出番が長い方だけど、外見が変わらないまま退場した。やけにざっくりした最期だなと思ったら、正史では孟達の謀反より前に病死していたんですね。 なお張郃に至っては官渡スキップしたから完全に不老キャラになっている。蜀の面々だけやけに事細かに老いを描写しているのは、主人公陣営の都合上、丁寧な人間ドラマが必要とされたからかもしれない。

37巻

引き続き街亭の戦い、戦意喪失した馬謖軍を司馬懿・張郃が挟撃、魏延・王平・高翔が救援、三日三晩の激戦後に蜀敗走、司馬懿が街亭・列柳城を制圧、張郃が西城へ先行、蜀が漢中へ総退却、西城で孔明が琴を弾いて空城計、孔明の奇行に怯えた司馬懿が後退、軍法会議で泣いて馬謖スラッシュ、孔明が右将軍に引責降格、魏が陳倉に築城、周魴が曹休に偽降伏して断髪、石亭の戦い、陸遜の圧勝、曹休が敗走して病死、趙雲が病死、孔明(48歳)が後出師表を奉呈して再び北伐、曹真・王双が陳倉へ、靳詳が郝昭を説得失敗、孔明が衝車・雲梯・井闌で陳倉城に総攻撃するも失敗、王双が到着して蜀と交戦するところまで。

思ってたより街亭の戦いが長期戦だった。馬謖のやらかしがあまりにあまりなので、もっと短時間で勝敗が決まったのかとばかり(演義では具体的な日数は触れられていなかったので、『三日三晩』は吉川・横光版仕様?) 横光版では「先帝(劉備)が『馬謖は口先ばかりなところがあるから、あまり重用しない方がいい』と言っていたのに」と孔明が後悔するシーンは無し。

北伐編に入って司馬懿が復帰してからは、張郃が全面的に信頼されていて実行部隊として常に先行するので急に出番が増える。 直近の出番が「漢中で失敗しすぎて前線から外される」だったので、目覚ましい出世ぶり。

38巻

孔明が再び祇山へ、費耀が斜谷で姜維の罠にかかって自害、孔明が曹真の偽装爆薬兵糧で火計返し、蜀が漢中へ余裕撤収、張郃が追撃するも取り逃す、魏延が王双を討つ、曹真が自信喪失して撤退、孫権が皇帝を名乗る、郝昭が重病の報、孔明・張郃が陳倉城へ急行、孔明が電光石火の放火で陳倉制圧、出遅れた張郃が陳倉から撤退、第3回祇山出兵、曹真が総兵の印を司馬懿に託す、司馬懿が祇山へ出陣、初の孔明VS司馬懿:祇山夏の陣、郭淮・孫礼が孔明の罠で敗走、張苞が転落重傷、張郃・戴陵が祇山裏で孔明の罠にかかる、張郃が単身突撃で戴陵を救助、孔明が丞相に復職して陣払いするところまで。

横光版の張郃は初登場時こそ出オチ担当みたいになっていたけど、終盤に入ってからは蜀の天敵としての頭角をバキバキに現してきますね。 失敗から学び慎重かつ果敢、司馬懿直属の実行班として堅実に任務遂行、即断即決の的確な追撃ができて、包囲された同僚を見捨てず安全地帯から折り返して怒涛の単身突撃を繰り返す狂人めいた胆力もある。 ここへきて張遼・徐晃に迫る勢いで描写が贅沢なので、孔明に名指しで危険視されるのも納得。

孔明から張郃に対する「絶対始末するぞ」宣言は三国志演義だと第99回。 原文のセリフは「若留下此人 必爲蜀中之害 吾當除之」(もし張郃を生かしておけば、蜀にとって災厄となるだろう。絶対に抹殺せねば)

39巻

\蜀魏関ヶ原/、張郃が蜀を猛追、姜維・廖化が渭水本陣へ、魏が総退却、張苞が破傷風で死亡、孔明が吐血療養、曹真・司馬懿が蜀へ、長雨で魏軍が次々病死して撤退、孔明が祇山へ、司馬懿が曹真に女装賭け宣言、魏延・陳式が命令無視して潰走、孔明の偽秦良軍作戦、曹真「仲達が女装で余の前にひれ伏す姿がみられるわ😄」、蜀が曹真を袋叩き、軍法会議で陳式斬首、孔明レターで曹真憤死、渭水で孔明の八卦の陣VS司馬懿の混元一気の陣、挑発に乗った司馬懿が挟撃され潰走、職務怠慢の苟安が魏に寝返る、魏のデマ工作で劉禅が退却指示、司馬懿が増殖竈に怯えて追撃中止、孔明が劉禅に厳重注意するところまで。

司馬懿の女装ギャンブルが本当に唐突に挟まってくるので声出して笑ってしまった。女装土下座と天子の玉帯+名馬1頭で賭けが成立しているということは、司馬懿の女装土下座はそれほどに価値が高いのだな……。
演義だと第100回序盤。原文の司馬懿のセリフは「若無蜀兵來 我面塗紅粉 身穿女衣 來營中伏罪」(もし蜀軍が現れなければ、私は紅で化粧して、女の服を着て、ひれ伏して謝罪しましょう)

周瑜に続いて曹真まで憤死させた孔明先生、もはや呪術師。
それにしても「孔明が書をもって曹真を筆殺した」ってすごい表現だ。三国志演義には無い記述だから、「筆殺」は吉川版か横光版の造語だろうか。

40巻

孔明が祇山へ、司馬懿・張郃も急行、孔明・司馬懿が食糧確保に隴西へ、鬼神コスプレ北斗七星団に怯えた魏が敗走、司馬懿・郭淮が夜襲失敗、鹵城で蜀が魏を奇襲、李厳から魏呉同盟の嘘報告、蜀が総退却、特盛死亡フラグ張郃が蜀を猛追、挑発に乗った張郃が木門道で楊儀・馬忠から一斉射撃され戦死、司馬懿が洛陽へ撤収、李厳が引責辞任、蜀の内政かため3年、孔明が祇山へ(6回目)、関興が病死、渭水で孔明が司馬懿に読み負ける、鄭文の偽装投降を見破った孔明が司馬懿に偽手紙、孔明の罠で秦朗が戦死、司馬懿が敗走、孔明が葫蘆谷で木牛流馬を製造、蜀の魔神コスプレ団が魏を奇襲するところまで。

司馬懿は張郃の身を案じて重ねて警告するし、訃報にもしっかり落ち込んでいるし、本当に張郃を高く評価していたのだな……。フェードアウトやナレ死が当たり前の三国志演義で、ここまで丁寧に死亡フラグが組まれている武将はちょっと珍しいかもしれない。
原典の張郃の戦死シーンは第101回。官渡は第30回、名前だけなら第22回で既に出ていたので本当に、本当に長い戦歴。(しかし横光張郃は最後まで不老を貫いてキュートな青年フェイスであった)

『三国志演義』原文の張郃の死亡フラグ台詞は
「吾素懷忠義 欲盡心報國 惜未遇知己。今都督肯委重任 雖萬死不辭」(常に忠義を抱き、魏に尽くすことを心から願っていましたが、私を理解してくれる人はいませんでした。都督(司馬懿)が重大な任務を命じてくださるならば、万死をも辞さない覚悟です)
魏に帰順して長いのに、やっぱり周囲からうっすらと忠誠度を疑われてたっぽいな……というのがよくわかる。

41巻

廖化に奇襲された司馬懿が冠を捨て逃走、呉が三路進軍して更に合肥の戦い、魏の夜襲で諸葛瑾が敗走、惨敗の呉が撤退、祇山で孔明と司馬懿が膠着、魏延・司馬懿が葫蘆谷で地雷にかかるも豪雨で生存、バチギレ魏延、責任転嫁されて棒叩き刑の馬岱、蜀軍が五丈原へ、孔明が司馬懿に女装セット贈呈、司馬懿が冷静に対応、孔明が寿命を悟って延命祈祷、魏が流星雨観測、魏延が灯火蹴倒して延命祈祷失敗、孔明が兵法書を姜維に/魏延取説を馬岱・楊儀に託す、孔明が李福に内政指示、宿星が落ち孔明死去(享年54)、蜀が撤退開始、魏延の不満爆発、司馬懿が五丈原へ、死せる孔明が生ける仲達を走らせるところまで。

孔明の出番も相当長いので、享年54歳は思ったより若い。やはり三顧の礼の時点では『辺境の若造』だったのだな……。
三国志終盤は司馬懿が強敵というよりも、続々と孔明の足を引っ張る蜀の身内が一番厄介という展開になるので、実質過労死なのがつらい。

司馬懿の第2回女装エピソードは正史には無くて、晋書に「孔明から女子向けの髪飾りを贈られた」と書かれているだけらしいですね。執拗に司馬懿を女装させようとする羅貫中の情熱 is 何。

42巻

裏切った魏延を馬岱が誅殺、蜀が孔明を定軍山に葬る、庶民に降格した楊儀が自決、曹叡が宮殿建設暴政、公孫淵の謀反を司馬懿が鎮圧、曹叡が病死、曹爽が傀儡政治、高平陵の変で曹爽一族処刑、蒋琬・董允がナレ死、夏侯覇が蜀へ亡命、姜維が北伐失敗、司馬懿が安らかに死去、司馬昭が蜀へ侵攻、戦況報告を無視して遊び倒す劉禅、姜維・張翼が剣閣で防衛、鄧艾が間道から侵攻、綿竹で諸葛瞻が戦死、劉禅があっさり降伏して蜀滅亡、劉諶が一家心中、暗愚極まってる劉禅に蜀魏ドン引き。
「天下三分の計はもろくも崩れ去った 英雄たちの夢も消えた あとに聞こえてくるのは新しい王朝の足音であった」
【完】

五丈原で終わりじゃなくて、その後さらにグダグダになっていく蜀の滅亡が最終回なので諸行無常感がすごい。
横光版の司馬懿は一貫して私欲や野心を見せていなくて、思慮深い憂国の賢人ですね。今際の際の言葉も「諸葛孔明…なんとすばらしい男であったろうか あの世ではゆっくりと教えを乞いたい😌」なので、呪詛をはきながら憤死した周瑜とのコントラストが際立つ。

三国志演義の司馬懿死亡シーンは第108回の冒頭。息子たちに伝える最期のセリフは原文だと「人皆疑吾有異志 吾嘗懷恐懼。吾死之後 汝二人善理國政。愼之! 愼之!」(誰もが私に二心あるのではと疑うので、私は常に恐怖を抱いて生きてきた。私の死後、お前たちは国をよく治めよ。慎め。慎め。)


以上、横山光輝版『三国志』全巻完走!!

後半からは三国志演義の原文・日本語訳を同時進行で併読したので、1日1冊進行はちょうど良いペースだったかもしれない。長い旅を終えたような心境です。素晴らしき大河ドラマでした。

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