WEB用イラストの描き方

らくがきリクエスト企画で描いたこちらのファンアートの作業工程をまとめてみました。
元々メイキングを作る予定がなかったので各工程の細かな記録は取っておらず、全体の流れをざっくり説明する方針になっています。
WEB用らくがきなので作画に関しても何かとざっくりですが、商業用のイラストも基本的には同じような手順を踏んで描いています。きちんとした一枚絵の時は各手順の精度を上げるイメージです。
特にこれといって特殊なことはしていませんが、何かの参考になれば幸いです。
  • 使用ソフトはCLIP STUDIO PAINTのみ
  • ツールの説明は省略しているので基本的な機能を理解している人向け
  • 最後にイラストの原寸データを公開 ※私的な閲覧にのみご利用ください

キャンバス設定

印刷用原稿との付き合いが長いので、WEB用らくがきでも最終的な完成サイズより広めに設定しています。今回の場合、青い枠線が実際の完成サイズです。フレーム外の見えない部分まで描いておくと後で配置の微調整がし易くなり、下書きの時にも人体の形を取り易くなります。

構図ラフ

最初にアイレベル(EL、パースの基準となる地平線)を設定してキャラクターの配置を決めます。今回は背景に建築物がないので厳密にパースを取りませんが、ざっくりでもアイレベルを決めておくと、複数のキャラクターがいる時の身長差を調整し易くなります。
今回は闇属性炎エフェクトを入れたいので、空気の流れもなんとなく決めておきます。空気の流れで髪の動きが決まります。

下書き

鉛筆で下書き。髪やマフラー、マント等の面積が広くて動きが大きいパーツは、線よりも投げなわ塗りツールや極太ペンでベタ塗りしてシルエットを取る方が効率が良くバランスを取り易いです。エフェクトも投げなわで方針を決めておきます。

線画

今回はWEB用らくがきなので、ざっくりめのペン入れです。鉛筆ツールを調整したらくがき用ペンでひたすら線を引きます。
ちなみにキャンバスを緑っぽい色で塗りつぶしているのは、目の疲れを軽減する為です。特にペン入れの時は、真っ白なキャンバスに比べて随分楽になります。
線画レイヤーは
  • 顔(ラスター):キャラクターイラストの最重要パーツなので微調整できるように独立
  • その他(ベクター):効率化の為に交点消去を駆使するのでベクター必須
の2枚構成で描くことが多いです。顔パーツを別レイヤーにしておくと、後で差分を作り易いというメリットもあります。

下塗り

ひたすらバケツで下塗り。
WEB用らくがきの時は重要度の高い【顔】と【髪】だけ1枚レイヤーでざっとブラシツールでどうにかこうにかしています。

乗算レイヤーでざくざく影を置きます。今回は逆光系なので、最初に全体を影色で塗り潰した後に光の当たる場所を削る手順を踏んでいます。アニメ塗りの要領で投げなわ消しとGペンで調整しました。
影の乗算レイヤーだけ表示するとこんな感じです。単色影はややのっぺりした印象になるので、影の領域が定まってからエアブラシでざっくり濃淡を作ると、2影レイヤーを足さなくてもそれなりに見栄えが良くなります。

ライト

逆光なのでリムライト(キャラクターの輪郭に沿ったハイライト)を強めに足していきます。リムライトはさほど手数をかけなくてもキャラクターが目立って便利です。後で紫色の炎エフェクトが入るので、同系統のピンクで塗ります。

色トレス

線画のカラー調整。概ねキャラクターの彩色が済んだので、黒一色だった線画に色を乗せて馴染ませます。
拡大図でないとわかり辛いですが、髪や薄い羽型パーツ等、逆光の影響が強く出る部分の線画はかなり明るい色に調整しています。

加筆

髪や顔パーツを中心に加筆します。毛先の処理や細いおくれ毛は線画の段階で描くより、キャラクター部分が概ね完成した段階で厚塗りの要領で描き足していく方が手早く済みます。

背景

今回は時短背景なので、キャラクターが目立てばヨシ!ぐらいの低い志で明暗差を決めます。

術エフェクト

ソシャゲ絵の場合、こういった炎だったり風だったり衝撃波だったりはとてもとても重要な構成要素なのですが、今回はキャラクター性の表現ができていればヨシ!ぐらいの大らかさで描きます。

環境エフェクト

後方の二人は過去の人物なので、霞がかった遠い記憶といった感じで白スモークを乗せます。手前の人物にはピンクの反射光を追加します。

パーティクル

火の粉のような光の粒子は手軽に素敵な感じになるのでお勧めです。

仕上げ

きちんと清書する一枚絵の場合は更に配置や色調の補正をしたり、諸々の加筆修正をしたりしますが、WEB用のらくがきは潔く完成宣言して反省点は次の絵に活かす!ぐらいのスピード感で良いと思っています。今回はこれで終了です。

原寸データ公開

こちらにイラストの原寸データを公開しました。レイヤーも未統合の状態なので、レイヤー効果や構成を確認することができます。クリスタ形式で保存している為、閲覧にはCLIP STUDIO PAINTが必要です。
  • 私的な閲覧目的でのみご利用ください
  • 転載や再配布は厳禁
同意頂けましたらこちらからダウンロードしてください。
https://www.dropbox.com/s/n21l0sudsg9ek0h/201229RS.zip
※350DPI /A4サイズとかなり大きい原稿なのでデータサイズが重いです
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