Nightwishの新譜がすごい

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今春発売されたNightwishの新作「Endleess Forms Most Beautiful」が素晴らしいんですよ!!!!!

フィンランドの大御所シンフォニックメタルバンド4年振りの新作、3代目のボーカルを迎えて初のアルバムです。個人的に2代目ボーカル時代の前作・前々作アルバムがかなり好みに合致した内容だった事もあってメンバー交代は寂しいものがあったのですが、そんな切なさも一瞬にして消し飛ぶ圧倒的な力が新作にはありまして、じっくりヘッドホンで聴いてこれだけボロボロ泣いた音楽は久しぶりです。年を取ると涙もろくなっていけねえ。

アルバムタイトル「Endless Forms Most Beautiful」はダーウィンの「種の起源」の結びの言葉から引用されていて、敢えて和訳するなら「きわめて美しい姿は限りなく」。全トラックを通して生命の起源や発生と進化を描くコンセプトアルバムになっています。これらのキーワードにぐっと来た方には是非ともお勧めしたい! フィンランドのバンドですが歌詞は英文ですし和訳の付いた日本盤もあります! Nightwishの音楽性は近年映画音楽・民族音楽系に寄ってきているので、普段メタルを聴いていない方でも比較的聴き易いんじゃないかなと思います。そもそもシンフォニックメタルやメロスピはアニソンに親しんだオタクと相性が良いのだ。

↓何はともあれ一度聴いてみて「いい感じ!」と思った方はNightwishにいらっしゃいませ!

↓ちなみに「フィクションの物語を語ることの意義」というかなり根源的なテーマで攻めた前作アルバム「Imaginaerum」も傑作です! お勧めです!(この頃は2代目ボーカル)

 

ここから新譜「Endless Forms Most Beautiful」についてもうちょっと突っ込んだ話。

今作最後に収録されているのが「The Greatest Show On Earth」というライブどうするんやろ感が凄い24分トラックなんですが、こちらが私の最も尊敬する存命学者リチャード・ドーキンスの著作「The greatest show on earth: The Evidence for Evolution(邦題:進化の存在証明)」をテーマに五楽章で組み上げられた壮大なナンバーなんですよ! しかもナレーションパートでドーキンス先生本人呼んじゃっている!! 何故今回こんなに興奮しているのかというと、「大好きなバンドが大好きな学者の著作をテーマに学者本人をゲストに呼んで新曲出した」んですね!! 奇跡かな!?

この「進化の存在証明」もですね、面白いんですよ……ドーキンス先生の一般向け科学書は専門の知識が無くても読み易いので進化や無神論に興味のある方に是非手に取って頂きたい……。

そういった事情もありつつ、新曲「The Greatest Show On Earth」にたいへん感動したので久々に翻訳してみました。前述の通り一応日本盤には対訳もついているのですが、ドーキンス先生のナレーションパート等バッサリ抜けがあったりなんだりで完全ではないので、改めて一から個人的に和訳しておこうかなと。生命の誕生、発生と進化、人が地球に現れて退場するまでを24分で駆け抜ける最高のナンバーです。この雰囲気いいなー! と思った方は是非「Endless Forms Most Beautiful」入手してください。

原文歌詞は公式サイトで確認できます。

The Greatest Show On Earth – Nightwish – The Official Website
http://nightwish.com/en/lyrics/endless-forms-most-beautiful/the-greatest-show-on-earth

“The Greatest Show On Earth”
[第一楽章 4.6]

始生代の水平線
最初の夜明けが
原始の地球に訪れる
完全な作品
その何処かに
私たちは眠っている

「数十億年もの眠りを経て私たちは遂に目覚め、極彩色に輝き、命に溢れた大いなる惑星を目の当たりにする。そして数十年もすれば再び目を閉じるのだ。大陽の下で過ごせるこの短い時間を、世界の仕組みや、私たちがどのようにしてここで目覚めるに至ったかの思索に費やすのは聡明で気高い事だと思わないか?」

 

[第二楽章 生命]

重力という宇宙の法則が
新たに産まれた者達を炎へと引き寄せる
無慈悲で冷たい無限があらゆる地に広がっている
生命生存可能域を往く孤独な旅人
話さなければならない物語がある
星の揺り籠から炭素の宴へ
全ての生命の共通の祖先へ

化学が織り成すタペストリー
庭園に綴られる物語が
私たちを全ての母へと導いてくれる

私たちはひとつ
私たちは世界を成す
やがて産まれくる者達の祖先であり
デボン紀の海を泳いだ者達の末裔
果てしなく長い時間が過ぎ
全ての生命の物語を描いてゆく
日毎に新たな幕が上がる
この地球で最も壮大なショー

細胞膜は外の世界を受け入れ
星を成す一部に
進化の系統樹を植えて
生命へ

私たちは庭園を受け継ぐ為に生きている
あらゆる姿の美しい生命が
誕生する驚異

[第三楽章 道具を作る者]

数十億年が過ぎ
ショーはまだ続いている
お前の父は誰一人 幼くして死ぬ事はなかった
器用な旅人が
アフリカを発つ
アファレンシスの小さなルーシー

空想を産み
偶像を産み
人をも滅ぼす兵器を産み
信仰にすがり付く
深く遠い過去から覗く
原始的な狩られる恐怖

イオニアの時代 哲学の始まりへ
知識を司る神殿
人は他の種とは違う力を渇望した
地球を総べる力を

輝く宝石を求め
巨大なキノコ雲を求め
復讐が連なってゆく
歴史の流れへ 壮絶な最期へ
生き延びた齧歯類の時代へ

人は、太陽の下で生きた
たとえ砂の一粒でも
真理を知りたいと夢見た
人は詩を産み出した
しかし やがてそれも終わる
図書館に灯った最後の明かりを目にする

人はここに存在していた
私たちはここに存在していた
私たちはここで生きていた
私たちはここで生きていたんだ

[第四楽章 理解するということ]

「私たちはやがて死ぬ。これは幸運なことだ。ほとんどの人間は産まれる事ができず、故に決して死ぬ事がないのだ。この地球に存在する可能性があったにも関わらず結局太陽を見る事ができなかった人間の数は、サハラ砂漠の砂粒の数よりもずっと多い。これらの産まれる事のなかった亡霊達の中にはきっと、キーツより偉大な詩人、ニュートンより偉大な科学者もいただろう。私たちのDNAから考え得る人間の可能性は、実在する人間達を遥かに凌駕しているのだから。こういった驚異的な確率の結果が貴方であり、私であり、今ここに在る凡庸さなのだ。私たちはとてつもなく低い確率から誕生という幸運を引き当て、特権を得た数少ない存在だ。他の大多数が踏み込む事さえできなかった地から元いた所へ還る不可避の日を、どうして嘆く必要があるだろう」

[第五楽章 海に削られた流木]

「この生命観は壮大なものだ。いくつかの力が作用し僅かな数種、あるいは単一の種に原始の生命が吹き込まれ、この惑星が不変の重力の法則に従って回り続けている内に、非常に単純な始まりから、限りない、きわめて美しい形態にこれまで進化し続け、また今も進化しつつあるのだ」

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